パールネックレスの購入を考えたときに、何を重視して品物を選びますか?漠然とそんなことを聞かれてもよくわかりませんよね。
そう何を基準にしていいのかなんて、普通にみんなわからないのです。
そんなときの目安になるのが会社のブランド力とか、売っている店舗のネームバリューという風になるかと思います。
そして今、一般的には常識となっているのが「パールの鑑別書です。」
通常はその販売している会社の「保証書」という形で保証しますというのがポピュラーでした。
鑑別書というと馴染みの薄い言葉かもしれません、一般的にはダイヤモンドのある一定以上のグレードのものについてくる鑑定書のほうが聞いたことがあるかもしれませんね。
この記事では、アコヤパールネックレスを購入する時には、鑑別書がついているものを購入した方がいいのか?真珠の鑑別書にはどんな種類のものがあり、どんな効力があるのかなどを解説していきます。
・デパートの宝飾サロンでで20年以上の販売実績あり。
みゆきんデパートの宝飾サロンで19年間真珠を販売してきた、みゆきんです。冠婚葬祭の定番といえば、ご祝儀、ご香典、パールのネックレスですよね。猫パンダ無理やりだけど、間違っては無いかも・・。[…]
パールのネックレスを買う時には鑑別書はついていた方がいいの?【あこや真珠の秘密】
結論から言いますが、アコヤ真珠の鑑別書はついていなくても問題ありませんし、最近よく耳にする「花珠鑑別書(はなだまかんべつしょ)」は品質の良いパールネックレスを購入するにあたっては重要視すべきではありません。
鑑別所書やそのなかでもグレードの最高のものについていると思われる花珠鑑別書まで重要ではないとはどういうこと?
真珠販売20年のプロを自負する私ことみゆきんがその理由をお答えします。
パールの鑑別書
パールの鑑別書とは、簡単に言うと本物の真珠なのか?偽物なのか?を鑑別したものになります。
真珠の鑑別の定義では、生きた貝の体内で形成される代謝生産物であって、かつその外観し得る部分の構成物質が真珠母貝の貝殻真珠層と等質であるものをいう。例外的に真珠層を持たないものもある。(日本ジュエリー協会より引用)
要は、海や川で生きた貝から取れたもので、その真珠自体の成分がその取れた貝の成分と同じ物質でできているのが真珠ですということ。
ダイヤなどの鉱石と違って人間がその過程で手を加えてないですよってことですよね。
一方、ある真珠鑑別機関の会社の定義ではプラスして真珠層が2ミリ以上あるものを真珠と定義しています。これは本物である定義というよりは、品質を向上させるための対策的な発想だと思います。
基本的にデパートに並ぶ宝石に関しては偽物を陳列している可能性は極めて低いので鑑別所はそれほど重要でないと考えます。
真珠の場合、ダイヤモンドや他の鉱石とは違い鑑定書が付きません。理由は真珠の生産者を守るための措置ともいわれています。
仮に真珠に鑑定書のようなグレーティングを付けたとすると日本の真珠養殖業界はバタバタと倒産していってしまうことでしょう。
パールの花珠鑑別書
《真珠化学研究所さんより引用》
現在の花珠真珠の鑑別所書は公的効力がありません。例えばA社という鑑別機関から花珠鑑別を付けたネックレスがあったとしてそのネックレスを他の鑑別機関に出してみても必ず花珠鑑別を取得できるかというと、答えはNOです。
例えばお金である1万円は、円は日本政府が保証していてくれているから価値があるものであって、それがなければただの日本銀行券と書かれた紙ですよね
宝石業界の中の真珠は歴史自体が100年ほどしかなく、つい30年くらいまでは明確な品質の提示などをしてこなかったので証明書関係が曖昧なものが多いのは、宝飾業界の体質から言ってもある意味仕方のない事なのかもしれません。
ダイヤモンドを評価する鑑定ほどの明確な項目がなく、鑑別機関によって品質に大きな違いがあることが現状なのです。
逆に中国では『花珠鑑別』のさらにアップグレード版の『天女』という鑑別が人気で品質を測るうえで認知されているらしいです。(天女は真珠化学研究所が発行しているものです。)
数がものをいう世界ですのであと5年もすると、現在日本の専門的な観点からは重要視されていない真珠の鑑別も、花珠鑑別やさもそれが付いているのが良いものと誤解させるようなネーミングのほうが重視される世の中になるのかもしれません。
いいものだから売れる時代は終わっていくのかもしれませんね、作り方から売り方へという時代なのかもしれません。
花珠鑑別が付いている商品は・・
この仕事をしていると、どうしても裏事情を掘り起こしてしまうというか?違った角度から物事を見てしまう癖が自然とついてしまいまいます。
現在花珠鑑別が付いている商品のほとんどはセール品であり、最高品質の商品につく称号というよりかは、ただの付加価値として着けている感じでしかないところが本当のところだ。
実際にデパートの宝飾サロンに並ぶ高額商品の真珠には、ほとんど鑑別書すらついていない。(購入時にお店に依頼すれば後付けは可能だと思います。)
逆に言うと花珠鑑別をつけていないと売れない商品だという裏がえしにしか聴こえないものばかり。
今現在の花珠鑑別はまさに売れない真珠のネックレスを売りやすくする調味料的な存在でしかないと考えます。
基準が公的に定まらないのは真珠協会や、ジュエリー協会の闇に関することなので難しい事とは思いますが何とか良い方向に向かって欲しいところです。
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真珠のネックレスを購入する際にはどのお店で購入するのかが大事
結果、パールのネックレス購入の際には鑑別書はあまり重要でないという結論に至った。そのお店の保証書のほうがはるかに保証の程度は大きいだろう。
仮に購入したパールネックレスに何かしらの不備があったとしよう・・花珠鑑別を発行している期間はその商品の保証はまずしてくれないし、購入したお店に行くしかないだろう。
ですから宝石は、クレームが付けられるお店で購入するのが正解なのです。
ダイヤモンド、エメラルド、パール、ゴールド、プラチナ・・。高価なジュエリーの美しさや輝きをいつまでも保つには、日頃のお手入れや気遣いがとても大切です。この記事では、ジュエリーに使用される貴金属と宝石について、その基礎知識と取[…]
パールのネックレスを買う時には鑑別書はついていた方がいいの?【あこや真珠の秘密】のまとめ
この業界で20年間プロの真珠販売をしてきた私から言わせていただくと、パールネックレスを購入する際には鑑別書はあまり重要視しなくても大丈夫です。
それよりも信頼のできるある程度ネームバリューのあるお店で購入されることを強くおすすめします。なぜなら仮に品質的にはそれほど高くないものを購入してしまったとしても、ネームバリューがあれば価値があるからです。
現代の社会では品質が良いものイコール価値がある物という時代は終わりを告げています。
今回の記事ではさも鑑別機関が曖昧でいい加減なところだと若干誤解を招くような内容になってしまったかもしれませんが、私的には、今までそれこそ基準がわかりにくく明確な基準が消費者に伝わらない業界の体質を改めさせてくれる機関であって欲しいという意味を込めて書いた記事になりますのでご了承ください。
あなたがご自分で納得されて素敵なパールネックレスをお選びになられることを心から願います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
パールネックレスの選び方をプロが本音で教えます。【ここだけの話】