「みゆきんです」
デパートや大手家電量販店には『外商』という部署があり、わたしの立場から呼ぶと『外商さん』といわれるアウトセール専門の仕事をしている人たちがいます。
以前にほかの記事でもご紹介しているのですが、さらに詳しく別の視点から『外商さん』について深堀していこうと思います。
外商さんってどんな人?デパートの現代版の三河屋さんデパートには外商部というデパートのお得意様カードをもってもらい商売をする、お得意様担当の仕事が存在します。お得意様の資格としては各デパートの基準によるところが大きいのですが、基本ご本人と[…]
外商とは しきたりと常識という2つの武器を巧みに使うプロ集団
今回の記事では私の働いているデパート業界の『デパートの外商さん』についてお話していきますね。
約20年間デパート業界で働いてきた私が、外商さんを一言で言い表すとすると・・・。
どういうことかといいますと、そもそもデパートの外商が担当につくほどのお客様はとうぜん高所得者なわけです、簡単に言うとお金持ち。
私の経験から、おかね持ちの人ほど信仰心に厚かったり、しきたりや風習を大事にしたりする傾向があります。あと、基本的に買い物においては「押しに弱い」人が外商顧客には多いです。
外商のやり方は昔から変わらない
どんな企業でも入社する時には、社員研修・社員教育がありますよね。デパートの場合は部署で仕事内容が大きく変わってしまうので社員研修も幅広く行われます。
例えば男性新入社員が食品売り場を担当していたと思うと、2年後には婦人服売り場に配置されます。
外商部も同じで、デパートのことを知り尽くしている社員がだけが配置されるわけではなく、入社2~3年目の社員でも外商になる可能性はあるのです。
私たちショップの人間が驚くのが、外商というとお金持ちのデパートにとって超優良顧客を担当する、店と超優良様をつなぐパイプ役なのに、新任で入ってきた外商には研修や教育が特にされていないのです。
この研修・教育というのは、立ち振る舞いや『〇〇デパートの外商とは』とい外商の基本理念的なことを指します。
新任外商はどうやって仕事を覚えている?
ほとんどの新任外商は赴任するとまず、お得意様にひたすらご挨拶からスタートです。通常の企業の営業の新任の挨拶ですね。
セールス(売る)については、大半は私たちショップの人から教えてもらっているというのが現実です。
どういうことかといいますと、外商顧客ともなるとデパート内の各ショップに担当の販売員を持っており、その場合は商売はほとんどショップの販売員がやってくれるのです。
その中で、外商員は担当している顧客の好みや性格を知ったり購入する金額の範囲を把握したりしていきます。実際にわたしもこの20年の間に何人もの新任外商と仕事をしながらレクチャーしてきました。
外商の売り上げ利益が下がってきているわけ
一般宝飾はデパートの支払う益率(マージン)が高い
《例》益率20%ならば10万円販売したらデパートの取り分は2万円。
仕事を探してる(転職・初就職)方の中には、選択支として宝飾業界(今回は宝石屋さん)をお探しの方もいらっしゃるかと思いますので、私なりの経験を踏まえて宝石屋さんが普段どういう仕事をしているのかをご紹介します。みゆきん今回は[…]
一般宝飾を売っていた背景には『しきたりや・常識』が・・
一般宝飾に限ったことではないのですが、デパートの外商の伝家の宝刀は、『しきたりと常識』の2つの武器。
例えば・・。


外商さん

ほかの外商のお客様はみなさん作られてますよ・・。

・商品セレクトの時間が短縮ができる。
・金額的にお得に購入できるチャンスがある。
・お届け物をしてくれる。
・支払方法に選択肢が増えて買い物しやすくなる。
・外商が用がないのに家に来る。
・見栄を張って必要のないものまで購入がち。
外商員のレベル低下?
50代後半の現役外商がよく言うのが、最近の若手の外商はレベルが下がっている。
果たしてそうでしょうか?昔はとにかく物がなかった時代なので、珍しい商品をお客様のご自宅に持っていけさせすれば、買ってもらっていた時代があったのです。
酷い外商になると、購入しますという同意もないのに無断で商品を置いていきそのまま購入してもらうみたいな話もよく聞きいたものです。完全な押し売りですね。
物があふれた社会になり、インターネットの普及で客側にも商品知識が大幅についた中では、客側が欲しいものの注文は入りやすくなりましたが、逆に外商主導のセールスがやりにくくなってしまったのです。
新人外商が、先輩外商や売り場の年配販売員に昔のことを教えてもらったところで、通用しないことが多くなってしまったのです。
これからはさらにこの状況は悪化していくでしょう。そうすると、流通業界の賃金が低いという事もモチベーションをさらに下げる原因になり生産性がまた下がります。
しきたり・常識がいつまで通用するのか?
仕事も時代によって変化しており、私の身近なところでは『デパートのエレベーターガール』。
私は実際に見たことはないのですが、アルバイトの60過ぎの女性に聞いたところ当時は花形の職業だったということ。
しきたりも変化しているものが多くあり、例えば昔は女性が19歳になると「身体に長いものを身に着ける」という風習で着物の帯を親御さんから贈るというのがあったらしいですが、最近ではそれがパールのネックレスや他のものにシフトしています。
これからさらに情報化社会が進んでいく中で、しきたりや・今までの常識を外商が武器として引き続き使っていけることは年々難しくなっていくのではないでしょうか。
外商とは しきたりと常識という2つの武器を巧みに使うプロ集団のまとめ
デパートの外商さんは『しきたりと今までの常識』という2つの武器を携えて大きな売り上げを上げてきました。
宗教的に日本では、しきたりや常識が早急に全くなくなってしまうということはないと思われますが、これからの教育によってはそれが早まってしまうかも知れません。
今回は、デパートの外商さんを例に出してお話させていただきましたが、世の中のセールスをする会社には、まだまだ『しきたりや常識』をベースにマーケティングを展開しているところが多いと思います。
テレビ業界がYouTube業界に飲み込まれそうになっている今、営業もまさに、改革・変化する時だと思うのです。